テレホンカ−ド


退院を明日に控えたもうすぐ消灯時間になろうとしている夜。
談話室で野球中継を眺めていた。

急に横にあるナ−スステ−ションがあわただしくなった。
急変らしい・・・・監視室の患者さんの容体が悪化したようだ。

談話室の電話ボックスに、患者さんの娘さんであろうか、
女性がショックを隠し切れない様子で看護婦さんと共にやってきた。
家族に連絡をとらねば、そんな気持ちと、今おこった急変というショッキングな
事実との間で、彼女は必死に平静さはとりもどそうと・・・・・・・・・・
・・・・・・彼女はとにかく乱れていた・・・・・・・。

テレホンカ−ドがない・・・・・・看護婦さんがナ−スステ−ションに
探しに走る。そんなに謝らなくてもいいのに何度も何度も「すみません、すみません」
といいながらカ−ドを受け取る彼女。
受話器が手につかない。涙がとまらない。立っていられない。しゃがみこんでしまいたいたい

患者さんが運ばれていった。

その後どうなったのだろう。



時々握り締めていた財布の中のテレホンカ−ドのことを考える。


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