氷の世界


病院には、ICUって部屋がある。
集中治療室のことで手術後など、24時間監視が必要な患者さんが
入れられるところだ。
もちろんぼくも術後その部屋で数日過ごすことになっていて、あらかじめ
その部屋の見学をするというのが術前の予定に入っていた。
麻酔が切れ意識が戻った時に自分がどこにいるのかを知っておくためだろう。

ICU・・・・実は以前に別の病院で1晩だけ過ごしたことがある。
気胸という肺に穴があく病気で緊急、しかも夜からの入院となったため
病棟のベッドの手配ができなかったらしい。
そこで空きベッドのあったICUでとりあえずということになった。
気胸という病気そのものは、何度めかの経験だったため「またかいなあ」と
あまり心配もしてなかったのだが、ICUというある意味特殊な場所での
1晩・・・・・・印象は最悪であった。暗い部屋に不気味に響き渡る電子音。
機械的に動き回る看護婦さん。対照的に数々のチュ−ブでつながれ身動きの
とれない患者さんたち。
今思えば妄想がかなりはいっていたとは思うが、ICUでの経験がこれ1度だった
ためかICUには、暗くて冷たい氷の世界の印象が残ってしまっていた。

見学である。「氷の世界」に行かねばならぬ・・・・。毎日吹雪吹雪の氷の世界にオレは
行かねばならんのだあ。
と半ばコ−フンしつつ付き添いの看護婦さんに連れられ行った先は・・・・。

はっきり言って、以前の妄想まじりの経験から手術より恐れていたICU。
だって手術中は意識ないけど、ICUの中ではそうはいかんもんね。
だけど神は我を見捨てなかったのだあ。

あっかるい−−−。おそらく意識的であろう、枕のうしろの大きな窓からは
明るい自然光がさんさんさん。
患者さんの状態の把握のための検査機器が発する機械音もあるにはあるけど、
それ以上に大きく響く看護婦さんたちの声。
なんていったらいいのかな、すごく活気があふれているっていうか・・・。

安心したねえ、この見学があってホント。氷の世界どころか蝶々がとんでる
きれいなきれいなお花畑ねうふって感じであった。少々大げさやな・・・。

氷の世界からお花畑に一躍大出世したICUから戻る時、そこの看護婦さんは
最後に「お待ちしております☆」とおどけてみせ笑顔で見送ってくれたのであった。


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