から揚げ定食による考察


たとえば、たいしてうまくもないが空腹を満たすには充分といった
風情のチェ−ン店のラ−メン屋に入ったとしよう。
そこで男は即座にから揚げ定食なるものを注文する。
ラ−メン屋であるから定食といっても白米に味噌汁そしてから揚げと
いったいわゆる飯屋的定食でなく、ラ−メン、小チャ−ハンにから揚げという
少しばかしくどい組み合わせの内容である。
男は定食を前にしばし考える。
飯屋的から揚げ定食なら、なにも迷う必要などない。基本にのっとって
メシ、汁、おかずを三角食べすればそれでいい。
しかしラ−メン屋的から揚げ定食となればそれは通用しない。
太古の昔から伝わるといわれる三角食べといえども中国4千年の歴史前にはその力は無力化してしまう。
麺・・・麺は伸びる。伸びた麺ほどみにくいものはない。
そう、中国4千年に対抗するには、麺から責めていくのが得策なのだ。
男は麺をすすった。とりあえずはこいつに集中すればいい。
そしてハシでつかめない麺の切れ端少々とス−プがのこった。
飯=チャ−ハン 味噌汁=残りス−プ から揚げ=おかず
多少変則的ではあるがこれで三角食べが通用する定食になったではないか。
これで万事OKである。
男はゆとりをもって定食を食すのであった。
そして最後に残したから揚げを1つ口にほうりこみ、飯中に1度も手をのばすことの
なかったお茶を一気に飲み干し満足気に店を後にするのであった。

<考察>
腹を減らしたこの男は、ラ−メン店に入る。この行動にはなんの疑問点はない。
空腹時おそらく注文から目の前に品が並ぶまでそうは時間がかからないであろうラ−メン屋しかもチェ−ン店
を選択したというのはごく自然なことである。
しかしである、数ある定食類から即座にから揚げ定食を選んだことは自然な行為であろうか?
わたしが考えるにこの男は非常にから揚げが好き・・・なのではないかということである。
空腹から1番に目についたメニュ−を注文したということも考えられるが、その後中国4千年の定食に三角食べ
で冷静に対処したことなどから、この男が注文時冷静さを欠いていたとは考えにくい。
この男はマ−ボ−定食でもなく、エビチリ定食でもなく冷静に好物のから揚げ定食を注文したにちがいない。
そしてそれよりも一番着目すべき点、それは最後の1説にある。
「最後に残したから揚げ」と「飯中1度も手をのばすことのなかったお茶」ここにこの男の本来の姿があると
わたしは思う。
ズバリいってしまおう。この男は好物は最後に食す、すなわち楽しみは最後に残すタイプ。
それもかなりの策略家である。お茶を最後まで飲まなかったことを考えていただきたい。
この定食の内容からして食事半ばで彼の口の中はかなり油っぽくなるはず、しかし男は
最後までお茶を口にしなかった。その上最後に「残した」から揚げを口にいれている。
一番油っぽいであろうから揚げを彼は最後まで「残した」のである。
もうおわかりであろう。「飲まないお茶」も「最後のから揚げ」も計画的。
そう、すべてお茶を飲む爽快感を増幅させるための男の計算だったのである。


ぼくは外泊許可がでても家には帰らなかった・・・・・・。


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